色んな本を読んでいるけど、最近読んだみたいなログを書かなくなったので読んだ本から順に書いていこうと思う。
本を読む本、というのも読んだのだけど、似たような分類の本として森博嗣さんの「読書の価値」を読んだ。この本の中で、今まさに書いているこのようなレビューみたいな読んだ記録を書く意味の無さを指摘されているんだけど、僕の場合文章を書く力が弱いと思うのでその訓練も兼ねているから、まあいいだろう。
全体を通して、森博嗣その人にある程度興味がないと読むのが辛い箇所があると思う。読んで得られる学びはたくさんある。彼の読み方、読むときの考え方、本の選び方、知識を蓄える意味などが書かれている。スカイ・クロラシリーズなんかの話も少し書かれているけど、大体は本を読むことの意義、そして本を読むインプットとそこから何をアウトプットするのかについての考え方が書かれている。一方で、この読書ログみたいなのは違うんだよなあ、という話もあって(それでも僕は書いているわけだが)結構考えさせられる。ただ、やっぱり彼個人のことについて書かれている部分が多い。それを求められた、ということでもあるようなので当然だけど。
なかでも、彼の考えるインプット/アウトプットの考え方が好きだった。彼は本や雑誌をじっくり、文字や文章をたどるのではなくそれからイメージされるものを脳内で展開し、インプットしていく。速読せずに、それらが頭にはいって展開されるという行為を重視する。結果として、本を深く理解する(これは本を読む本でも、分析する読書として取り上げられているものに近いように思う)。そして、彼は小説という形で自分の中に取り込まれた知識から発想を得てアウトプットするのだが、このアウトプットを読んだ読者が、やはりその文章から何らかのイメージを思い浮かべることになる。それが彼のアウトプットの行き着く先であり、ゴールであり、彼の作品だと考えているという。インプットもアウトプットも、誰かの頭の中がゴールであって、ただ書くことがゴールではないという話。言うは易しなんだけど、すごく分かる話だ。
あんまりこの本の本質とは関係ないんだけど、なんとなく森博嗣っぽい言い回しだなと思って好きだったのが、下記の引用。
「才能」といったものが存在するのかしないのか、僕にはよくわからない。少なくとも、この言葉のおかげで、「自分には才能がない」と諦めることができるらしい。 森 博嗣. 読書の価値 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2187-2188). Kindle 版.
という一文だった。確かに、僕も才能という言葉を自分に使うとき、諦めるために使うことのほうが多い気がする。その大半は才能以前にあまり興味のわかないことであることも多々あるが。